自由診療でおこなわれる「にんにく注射」、聞いたことがある方が多いでしょうか。疲労がとれる、体質が改善するとされていますが、中身はビタミンB1入りのただの点滴です。ちなみに、にんにく注射と呼ばれる所以は、注射されると強いにんにくのような臭いを感じるからです(にんにくは入っていません)。
このにんにく注射を含むビタミン注射について、BBCに面白い記事があったので紹介します。以下は記事の要約です。
BBC News
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流行りのビタミン点滴
- 中国で50代女性が自家製ビタミン点滴をした結果、瀕死の重症になった。20種類の果物を混ぜたものを静脈にいれたせいで、激しい発熱が起き多臓器不全になったが集中治療をうけ一命をとりとめた。
- アジアではビタミン注射が流行り、無資格で投与されることもある。たいがい体力を高め、免疫を強くし、お肌もきれいになる、と宣伝している。また、アメリカには二日酔いを治すためにバスでの往診でビタミンを点滴するサービスまである。
- 保険診療でないため高い料金が設定されがち(数万円から400万円超まで)。多くの著名人がビタミン点滴する姿をSNSにあげている。
- 点滴の内容はさまざま。どのビタミンを注入したいか選べることもある。
(正しい保険診療を行っている)医療現場では…
- 保険診療をただしくしている病院では、必要なとき以外に栄養を血管から投与することはない。口から水分すらとれない状況以外では、点滴での栄養やビタミン投与は正当化されないという原則がある。最悪の場合、ビタミン注射が肝臓や腎臓にストレスを与えることもある。
- 私たちの腸はビタミンやミネラルを吸収するのに優れている。それなのになぜ血管を刺して、感染のリスクがある手段を選ぶ必要があるのか? 「静脈内に何かを入れるときはいつでも、その刺入部から細菌・ウイルスなどが入って全身に広がってしまうリスクを冒している。
本当にビタミン補充が必要なのは?
- 欠乏症になるリスクがある特定のグループはサプリメントを使用する必要があります。 欧米では、妊娠中・授乳中の女性はビタミンDを、妊娠計画中・初期(12週まで)の女性は葉酸を、それぞれ摂取することが推奨される。これによって、新生児の二分脊椎などの神経管欠損のリスクが軽減される。
- 65歳以上の人や日光に当たる時間が極端に少ない人もビタミンDサプリを摂るべき。
- 6ヶ月から5歳までの子供はビタミンA、C、Dを含むサプリを与えられるべき。
現代人は余分なビタミンを摂取することに熱心
- 健康な人が自費でビタミン剤を買うと、すでに食事でこと足りているビタミンを余計にとることにお金を使っていることになりうる。
- それぞれのビタミンの必要量はごく少量で、その量がとれないときだけサプリを考慮してもよい。
- 点滴は強制的にビタミンを血流に押し込む行為。注入された90%以上はただ排泄されるだけなので、実際の利益はごくわずか。
- たとえ副作用なくビタミン注射できたとしても、非常に高価な尿を作っているのに過ぎない。
やはり食事がじゅうぶんなら、ビタミン剤を無理にとる必要はあまりないですよね。ましてや痛い思いをして点滴する必要はないでしょう。
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