すし匠やくすのきなど一流店が立ち並ぶエリア・四ツ谷。なかでも四谷三丁目界隈は渋い名店が軒を連ねる食通御用達の飲食店街なのです。
今回はそんな四谷三丁目にある中華の新星、南三さんにうかがってきました。
店名にかかげた「南方中華料理」というのは、オーナーシェフが魅了された台南、湖南、そして雲南の地方料理のこと。3つの地域から、ということで南三という名付けになったそうです。

ビル2階にあるお店に入ると、バーの跡地ということで比較的すっきりした内装です。1日1回転15席のみのお店ですが、すでに超人気店。期待が高まります。
この日はビールを飲んでからの訪問だったので、まずは深漬レモンサワー(700円)。すっきりした味わいでこれからの料理のジャマにならなそうです。
中国本土をめぐりインスパイアされ、黒猫夜や蓮香といった新星中華の人気店でも研鑽をつんだオーナーシェフ水岡さんが作る料理はオリジナリティあふれるものばかり。
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前菜から未体験ゾーンに誘われる南三オリジナルコース
最初の前菜盛り合わせから度肝を抜かれる構成です。この冷菜6種は圧巻のボリュームだったので、乾杯のお酒が足りなくなるほどの食べごたえでした。
30年ものの切り干し大根を載せたタコの烏龍茶茹でや台湾ハイビスカスと枝豆の紹興酒漬け、よだれマグロ、ウニとそうめんカボチャなどなど。
ひとつとして「あぁこの料理ね」という定番ものがありません。どれも美味しく、そして初めての体験となる風味が楽しめます。

2皿目はスペシャリテの珍味盛り。盛り付けられた3種類は以下のラインナップ。もちろんどれも食べたことがないものでしたが、また食べたいと思わせるお味。
- 羊のウイグルソーセージ
- 鴨舌のスモーク
- 豚の大腸に葱を挟み込んだパリパリ揚げ

タラバガニとフカヒレの春巻き。作りたての春巻きというだけで美味しすぎるのに、具材2種があまりにも豪華かついいバランス。ひとり1本では物足りないくらいです。
2杯目は深漬レモンジャスミン(700円)。先ほどのサワーとちがって炭酸はなく、ジャスミンティーの香りがいいコラボレーションの1杯。
スモークサーモンに冬虫夏草、衣笠茸、雲南ポルチーニなどを合わせたお皿。優しい味わいですが、冬虫夏草など普段あまり口にしない食材を楽しみつつ主役サーモンのジューシーさは生かされている絶妙なハーモニーです。

ワインは座席奥にある冷蔵庫に並んでいました。基本は2,900円のフルボトルでの注文となりますが、一部ナチュールのものなどは瓶に記載された金額となります。
この日はブルゴーニュの白(4,800円)を選びましたが、どの料理にもあう良いチョイスでした。
空芯菜とキクラゲの豆豉(とうち)炒め。納豆のような香りがしますが別物の豆製品である豆豉をつかった一皿。燻製されたであろう豚バラも相まって、食べごたえバッチリの炒めものです。これが南三スタイルなのでしょう。

牛肉の貴州風。酸味の効いたトマトスープに合わせていただきます。

つぶ貝の入った雲南ビーフン。見ての通りビーフンにしては太い。そして調理の妙でしょうが旨みたっぷり。チャーハンや焼きそばで〆ないので新鮮な感覚が最後までありました。

最後のデザートは、中華の定番・杏仁豆腐にイチジクのシャーベットと桃の樹液を載せたもの。控えめな甘さでいいですね。
そして、温かいプーアル茶をすすりながらお会計に。散々飲んだしお腹も満たされたのにひとり1万円に全然満たない良心会計でした。
圧倒的なコスパで楽しめるオリジナリティ溢れる中華料理たち
来月から少し値上げがあるようですが(といっても1,000円ほど)それでも安すぎると思わされる内容のコースでした。ナチュールワインを含めて飲み物も高くないのでカジュアルに使えるすばらしいお店ですね。
唯一の難点はその予約困難さだけなので、またがんばって予約をとっていきたいものです。
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