薫滋囉(千駄木 / くじら料理)

皆さんは給食でくじらを食べた記憶はありますか?ぼくは東京育ちのせいか、あまり記憶はありません。違う地域出身だと同世代でもくじら食べてた、という友人もいるのですが。

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根津エリアにある「くじら」専門店

特別なものが食べられる企画があると、お店の常連さんに誘ってもらい初訪問したのは薫滋囉(くぢら)さん。日本医大のある千駄木・根津エリアにひっそりとあるお店で、もっぱらくじらを出すお店のようです。

事前に聞かされた会のコンセプトは、「くじらとうつぼの花山椒鍋」。名前からはまったく得体のしれないコースですが、信頼できるグルメな知人が懇意にしているお店なので不安なく当日を迎えました。

Google mapを頼りにお店を探してみましたが、やはり少しさまよい歩くことになりました。住宅地を数分ねり歩いてようやく「くじら」と書かれた提灯をみつけて到着となりました。

いきなり圧倒される前菜・お造りのスケール感

まずは前菜がふた皿だされます。1つ目はくじらのつくね、筍の食感がアクセントになっていました。2つ目は3種盛り。山菜を珍しい鯛で巻いたものや、ミンククジラの南蛮漬けはすでにお酒がほしくなるお味でした。

いきなりくじら肉からスタート
3種盛り

つづいて、くじらのお造りです。千葉で水揚げされた定番ツチクジラの背中、佐渡島産の無凍結ミンククジラのロース、頰肉、喉元、さえずりの根元と鮮度のいい刺し身が並びます。背中やロース、頬肉はわずかに血合いのニュアンスも感じますが、臭みは一切ありません。たまに解凍されたくじら肉を食べたのみの自分には衝撃的な美味しさでした。これだけでも訪問した価値があるでしょう。

添えられた醤油もまた特別、そのまま飲めてしまうという「わらべうた」という商品でした。さらに、しょうがの醤油漬、無農薬ほうれん草、にんにく醤油漬と3種類の薬味が並びます。また「最後の背中の部分一切れにはこれを」と別皿で提供されたのは、ごま油と塩に生ペッパーを合わせたもの。野菜とくじらをセットでディップするとバチッと丸ごと美味しくなる意外な組合わせでした。

刺し身の盛り合わせ

熱い想いで選びぬかれたお酒たち

ドリンクは「苦い人生」と書かれたグラスで飲む、志賀高原のクラフトビールでスタート。その後は勧められるがまま、日本酒三昧でしたが本当に珍しいものばかり。珍しいものだからではなく、しっかりとした造り手のコンセプトをみてチョイスされているお酒たち。

  • 純青(わたりぶねの生酛・無濾過生原酒)の炭火お燗・常温
  • 神稲(くましね)の炭火お燗
  • 田村(仁井田本家の無農薬・特別酒)の炭火お燗・常温
  • 上望陀(千葉県)の炭火お燗
  • 舞美人(山廃)を大分の天然炭酸水で割って
  • 竹泉(2012BY)
  • 十旭日(生酛・御幡の元気米 27BY)
珍しいお酒ばかり

まだまだ続く前菜では、スペシャリテのツチクジラ竜田揚げ、それに採れたての行者にんにくをミンククジラで巻いた天ぷらがきました。これに合わせるマヨネーズは会津若松の平出油屋さん特製の逸品。

竜田揚げと天ぷら、マヨネーズを添えて

いったん休憩をと出された九十九里産のそら豆をつまんでから、くじらベーコンが提供されます。さらに、くじらの尾びれと鼻の粘膜(潮吹き)の酢の物までで圧巻の前菜部分が構成されます。

メインの2つの龍の鍋へ

2つの龍とは「くじら」と「うつぼ」のことだそうです。スープは、うつぼのあらと中骨そして頭に加え、くじらの背脂をいれて炭火で炊き上げたもの。これに和歌山県産の摘みたての花山椒をたっぷりいれて仕上げます。このスープでしゃぶしゃぶしたお肉を、ポン酢・塩・味噌で味付けしながらいただきます。くじらに行者にんにくを足したり、揚げたうつぼには花山椒を足したり、と色々なバリエーションで食べ続けます。

これだけの花山椒を投入

最後には、炙ったくじらベーコンと七分搗きの炊きたてのお米も投入して〆ます。

炙ったベーコンと七分搗きの米

尺の長さを感じることなく、くじらとうつぼ、そして花山椒の織りなす未知の世界を感じることができました。1品ごとの説明や魅せ方などホスピタリティも抜群です。また季節をかえて伺いたいお店です。

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