長谷川稔(広尾 / イノベーティブ・フュージョン)

北海道のミシュラン獲得店「リストランテ薫」。その星付きのお店を閉じ、東京に移転したのは2018年。シェフ長谷川さんの名を冠したお店として満を持してオープンした広尾のレストランです。

すでに予約困難すぎるお店ですが、先日お誘いいただき貴重な経験ができました。

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有栖川公園至近の漆黒の隠れ家

お店は広尾駅から歩いてすぐ、有栖川公園にいく手前にあります。普通の1軒屋くらいのサイズですが外装は漆黒。ライトアップされた小さな看板がなければ通り過ぎてしまいそうな外観です。

珠玉のコース料理、ペアリングのワインもばっちり決まっています

店内は1階席、2階席に分かれていますが、この日は1階個室の貸し切りでした。座った席からはガラス越しに長谷川さんらの調理姿がよく見えます。

料理はおまかせのコースとなります。飲み物については、各料理に合わせながらペアリングでワインをお願いしてみました。

まずは京都舞鶴のアワビ。低温で4時間ほど丁寧に調理されています。

さらにその肝はローストされ、高知県産アスパラに合う極上のソースに変身。

合わせるワインは、シャサーニュ・モンラッシェ。シャルドネがよく合います。

2杯目はトリンバック(ゲヴェルツトラミネール)です。凝縮感のある洗練された味わいで、ゲヴェルツのわりにはインパクトは軽めに感じます。

3皿目は、前日火入れで仕込まれた「特産松坂牛」。アサリで炊いたもち米と、北海道浜中産の塩水バフンウニなどのソースを合わせていただきます。

そして、長谷川さんのスペシャリテ「伊豆稲取の金目鯛」。鱗を立たせ過ぎないように身を冷やしながら火入れするため、身はジューシューなまま。モッツァレラチーズ、フルティカ(トマト)、ナス、バルサミコなどを使ったソースが見事な調和を生んでいます。

合わせたのは2005年のボルドー・グラーブ産の「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ」(ソーヴィニヨンブラン、セミヨン)。濃厚かつ酸を感じる希少な白ワインです。

口直しに「北海道産のよつぼし(いちご)」。タピオカ、白あん、マスカルポーネラム酒、抹茶などを使った上品な味わい。

これには、ラルマンディエ・ベルニエのロゼ・ド・セニエ。ピノ・ノワールから作られる赤ワインのような色調で、プラムジャムのような味わい。

「サワラのコンフィ」は、1時間半かけてコンフィにした後、炭火で香ばしく仕上げています。添えられた蕗味噌とタケノコもいいアクセントに。

ここではシャンパーニュがペアリングされました。ポル・ロジェのキュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル2008年。英国王室御用達の高貴な味わい。

ここでパスタがきます。「カラスミを合わせた、タコと大葉のパスタ」は茹で具合ふくめパーフェクトな仕上がり。

このタイミングで注がれたアルザスのリースリングは、2015年のアルザス・ランゲン・ド・タン・クロ・サンテュルバンのグランクリュ。

「松坂豚をつかった青椒肉絲(チンジャオロース)」。本物の牡蠣、そして八丁味噌や甜麺醤などをあわせることで風味を作っているのだとか。

中華風にはやはりシャトーヌフ・デュ・パプ。至高の造り手ボーカステルの逸品は、華やかな果実味ときれいなタンニンがすばらしいのです。

ここにきてリゾットが提供されます。ふぐ白子の醤油漬けを生クリーム代わりにつかった高坂鶏のリゾット。キャビアまで載せられ少量ながら満足感があります。

合わせるのは、ギガルのエルミタージュ・ブラン2010年。エルミタージュの白、はじめてみました。しっかり開いていて滑らかかつ甘めの味わいです。

そしてラストは見事な火入れの「鴨」。パリッと炭火で仕上げてありながら、肉の旨味が閉じ込めてあります。ブラウンマッシュルーム、ホワイトアスパラ、そしてマルサラのソースも脇からいい仕事をしてくれている紫玉の一皿。

こんなとてつもない鴨にはやはりしっかりした赤。パニエに載ってきたのはクロ・ヴージョ・ミュジニィ2000年(グロ・フレール・エ・スール)。

お料理はここまでで一通り。ここからはデザートとなります。

一品目は、高知県産のさちのかをつかったイチゴのコンポート、ラム酒のジュレをつかったパンナコッタです。

そして、お次のお皿には二品。高知県産のブラッドオレンジなど柑橘をつかったチョコガナッシュ。さらに、セロリシャーベット、小夏のエスプーマ。

富士市のノンカフェインほうじ茶をいただきながら、最後は焼き立てのフィナンシェで〆ました。このフィナンシェも1人3種類、プレーン、天の戸の酒粕、チョコと味をかえてくるあたりがニクいですよね。

予約は2年先まで埋まっている超人気店

北海道の名店が東京に!と噂を聞いてはいましたが、わずかな期間で大人気の予約困難店になられた長谷川稔さん。予約は2年先まで埋まっているという話ですが、またいずれ再訪できる日を夢見てしまいます。

お土産のチーズケーキをいただきながら、そんな思いを抱いた1日となりました。

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