宮崎でお店をはじめてわずか半年で東京出店のお声がかかった魅力あふれるお店。2019年4月に西麻布でのオープンして以降、絶賛する声がたくさんの焼鶏 ひらこさんに伺ってきました。
お店は西麻布交差点近く、六本木通りから数ブロック入った静かなエリアにあります。
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高岩さんに魅せられる飛来幸鶏とのペアリングコース
まず1杯目はへべすサワーから。宮崎県産の柑橘であるへべすは別名酢みかんとも呼ばれるローカルな果物。すだちやかぼすとも違う味わいです。
そして、新鮮な野菜がうれしいサラダ。
最初のサワーとサラダで喉とお腹の準備が整ったところで、ひらこ劇場の開演となります。
流行りの強火で火入れした熱々を提供するスタイルとは異なって、串打ちはせず人肌くらいに温度が落ち着いたところで1品ずつ提供されます。
まずは皮。1品目は首の部分、2品目はモモの部分の皮と食べ比べます。わさび醤油を両面にたっぷりと付けて食べると、部位ごとの質感の違いがわかります。
こちらには赤ワインを合わせていきます。飲むタイミングまで指示されるので、素直に従えば最高のマリアージュが待っています。
続いては変わり種といっていいでしょう。お腹の中の卵。ほっこりとした触感と濃厚な味わいが楽しめます。
そして、スモークされたもも肉には日本酒を合わせていきます。お酒は本当に少しずつ、一口サイズの料理に合わせた量で提供されます。もちろん希望すれば注ぎ足していただけるので呑兵衛も心配いらないのですが。
ももの炭火焼の食べ比べ。すぐ隣に位置する二部位を連続で食べることで味わいや肉質の違いをはっきりと感じることができます。
これには、力強い味わいのシャルドネでマリアージュが楽しめます。
盛り上がってきたところで炭水化物がはさまります。
オムレツというのですがトリュフのかかった炊き込みご飯のような出で立ち。その芳醇な香りを楽しむ前後にはそれぞれ適切なミネラル感のあるシャルドネを合わせてくれます。
特上トロのお刺身の上にキャビアをのせて。
激しく美味しいししとう。
そして、飛来幸鶏の強い弾力と旨みが楽しめるソリレス。
ここで中締めでしょうか。一口焼鳥丼がでます。なんだかご飯までとても美味しい。聞いてみるととても特別な出回らないお米なんだとか。この一口丼に関しては一切のマリアージュは不要。ただこの一杯を味わいます。
熱々の椎茸を挟んでからの、一口丼第二弾は一口とりめし。
お刺身三点盛り合わせは、ささみ、ささみ酒粕チーズ、そして胸肉。
赤ワイン、それもバローロを贅沢に合わせるとこれがベストマッチ。この鉄板マリアージュを楽しんだ後、いったんきゅうりの漬物で小休止します。合間にでてくる宮崎県産の野菜がこれまた素晴らしいものばかり。
手羽の部分は柚子塩をかけて、焼き茄子はそのままで楽しみます。
レバ刺しはトロトロで絶品。口に含みながら日本酒をちびちび飲むことで美味しい時間が長く楽しめます。
ここに来てなんと日本酒二種を混ぜての一杯が提供されます。飲んでみると全く違和感のないブレンド酒。卵管を食べ終わってから飲むことで余韻がより良いものになるという口内調理の凄み。
一杯のお椀にはいってきたのは、さっぱりとした酢の物。使っている三杯酢がとてつもない美味しさで衝撃的です。
この後、つくね。そして、ハツのあで一通りとなります。つくねをみて初めて串がささっているなぁと気付かされますが、そこまで違和感なく進んでしまうのがひらこワールドなのでしょう。
ラストの丼ものシリーズは、まずミニ親子孫丼(同一鶏の肉、卵、出汁)。これには鶏スープもついてきます。これにも合うお酒があると、日本酒・黒牛を少し。
ほんとの〆にと出していただいたのが、卵かけご飯。焼き鳥屋の名店ではよく目にする飲めるTKG。ひらこのTKGはそれを遥かに超えていく美味しさでした。
かける醤油、ベースのご飯を含め非の打ち所がない完璧なTKG。満腹ながらオカワリをしてしまいました。思い出しただけでまた食べたい逸品。
デザートはプリン。しっかりと詰まっている感じなのに口当たりはなめらかという不思議な感覚。バニラビーンズやバニラエッセンスを使わず、砂糖も少しだけで作られていて、上品な甘さが感じられます。決してくどい甘さではないので食後でもスルッと完食できてしまいます。
これ単体でも販売したらすごい反響がきそうなスペシャルデザートでした。
宮崎愛あふれる高岩さんは実は養鶏のプロ
焼鶏ひらこ店主である高岩さんは、実は養鶏のプロ。地元宮崎で名古屋コーチンを独自に飼育したブランド地鶏、飛来幸鶏(ひらこどり)を育てている。
通常の鶏が3ヶ月ほどで出荷されるのに比べ、飛来幸鶏は驚きの400日もの飼育期間をとっているのだとか。無農薬生野菜を与え、丁寧に育てられた地鶏なので品質は間違いなし。愛情をかけて育てられた飛来幸鶏はさらに1ヶ月ほどの熟成期間をとってお店で提供される段階となります。
生産者の愛をもって最高の状態で届けられる鶏肉と宮崎県産食材の数々なんですね。
唯一無二のひらこワールドを楽しもう
今年一番といっていいほど既成概念を崩してくれた、オリジナリティあふれる良店でした。従来の焼き鳥という概念には当てはまらない唯一無二のお店といっていいでしょう。予約が取れなくなる前に、ぜひ足を運んでほしいものです。