飲食の熱いエリアとはいいづらい本郷エリア。その中で数年前ぽつっと現れて以来、高評価でありつづける天ぷら屋さんがある。その名も、江戸前 晋作さん。
名前からは和食?となるネーミングだがご近所の老舗天ぷら屋さんに配慮して、屋号には天ぷらを冠しないことになったそうです。

お店は本郷三丁目の交差点からすぐの大通り沿いにありました。
19時ちょうどになり、店主みずから暖簾をかけてお客さんたちを中にいざなってくれます。脇においてあったお花をみると3周年を迎えられた様子。すでにしっかりと地域に根ざし、常連客もついてきているということでしょう。

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ワンオペ店主が織りなす極上の江戸前天ぷらコース
開店少し前に集まった3組6名でカウンターに並んですわります。特に接客のスタッフはおらず、店主・晋作さんがワンオペで調理・対応していただける様子。

まずはエビスの小瓶で乾杯。卓上には大根おろし、塩、つゆが用意されます。
先付は白魚を使ったごま豆腐。やわらかな舌触りの中に、ゴマの風味とキリッとしたつゆの味が楽しめます。

天ぷら一品目は車海老。期待をもって口に運ぶと、それに応えてくれる極上のエビでした。エビ自体の良さを引き出す、軽やかな揚げの技術が光ります。

エビは頭の部分、そして2尾目は少し火入れを弱くしてジューシーに、と3部作で楽しませてくれました。格調高い天ぷら屋さんでは、このエビ2尾をどこで出すか、どう見せるかがお店ごとに違うので楽しいですよね。
6日間寝かせたというキス。天ぷらでは外せない王道の魚ですが、ここ晋作さんのキスも相当なもの。身の旨味はもちろん、軽やかで食後感のいい衣が洗練された印象を与えてくれます。

イカ。中にいくほど柔らかな印象を与えるイカで、よくありがちな硬い食感は残りません。レベルの高さが伝わってくる逸品。

銀杏。極薄の衣でさらっと揚げてあるのですが、熱はしっかり入っていてホクホクとしています。
銀杏には塩強めが好みですが、こちらで使っている塩は多めにつけても尖った味にならないことに驚かされました。なんでもサンゴでろ過した奄美大島産のミネラリーな塩なんだとか。

5日寝かしたメゴチは、数年前自分が天ぷら屋さんで教えてもらったお魚です。こちらのメゴチは大きさも文句ないもので、左右に開かれた身はぷりっといい歯ざわり。

小柱は昆布締めしたもの。ひとつ目はぜひそのまま味わってください、とのこと。残った方は塩を少し合わせるとまた違ったニュアンスに。

ウニを大葉で巻いて。ウニの美味しさ、水分量を損なわせない職人技の揚げ加減。他のお客さんたちも舌鼓をうっていました。この日一番といっていいかも。

そして、江戸前といえば穴子。立派な大きさのものを目の前でサクッと割ってくれるパフォーマンス。味も文句なしの美味しさです。


野菜もの2品で天ぷらはラストとなります。
まずはナス。ナス嫌いの同行者も食べてしまったほどの嫌味のない味。

そして、肉厚でボリューム感のある椎茸。ジューシーさ、旨味をうまく残した揚げ具合でいいものでした。

ご飯ものは定番という、マグロのお茶漬け。まずは刺身として数切れいただき、その後はゴマダレごとご飯にオンします。最終的には煎茶をかけてお茶漬けにするという展開に。今はやっていないランチコースでも提供されていた鉄板メニューです。

デザートは抹茶のくず餅。茶漬けにつかった煎茶の残りをいただきながらまったりして終了となります。
本郷の土地にひっそりとあるミシュラン認定の本格天ぷら屋さん
個人的にアクセスのいい場所にできたとあってオープン以来様子を伺っていたこちらですが、今やミシュラン一つ星の人気店になられました。予約がさらに困難になる前に行けてよかったと心から思える充実の内容でした。